家畜のエサとなる牧草には「一番草」「二番草」などいくつか呼び方が存在します。
「収穫時期が違うだけで、結局は同じ牧草でしょ」と思っている方も多くいますが、実は牧草に含まれる栄養素も徐々に変化しているのです。
今回は、一番草と二番草の違いや特徴について解説します。地域によっては三番草や四番草まで収穫されることもあるので、それらの特徴も合わせて覚えておきましょう。
一番草と二番草の違いとは?
家畜のエサとなる牧草は、収穫する時期によって呼び方が変わります。
春から秋にかけて収穫した順番に、一番草・二番草・三番草と呼ぶのが一般的です。
一番草は栄養価が高く香りも良い
春から初夏にかけて、牧草が成長しはじめた時期に刈り取られたものを「一番草」といいます。一番草は5〜6月を目安に収穫されることが多いです。
冬の間に、じっくりと時間をかけて栄養素を蓄えた土壌で育った一番草は、栄養価が高く良質な飼料になります。一番草は、やわらかくて香りも良いのが特徴です。
牧草の収穫後にロールが並ぶ景色は、初夏の風物詩ともいえますね。
二番草はやや硬く繊維質が多い
一番草の収穫後、夏から初秋にかけて刈り取られた牧草を「二番草」といいます。気候や地域にもよりますが、二番草は7〜8月に収穫される場合が多いです。
二番草は、一度刈り取られた草が再生・成長して収穫されたものであるため、一番草よりも栄養価は劣ります。一番草よりも繊維質が多くなり、草が硬くなる傾向にあります。
一番草と比べると栄養価は劣るものの、二番草も良質な飼料として利用可能です。どちらも家畜の飼料として重要な役割を果たしています。
三番草や四番草もあるってホント?
地域によっては、三番草や四番草を収穫するところもあります。日本国内で見てみると、三番草を収穫する地域は多いですが、四番草まで収穫する地域は限定的です。
三番草はストック飼料として収穫
二番草に続き、晩秋にかけて刈り取られた牧草を「三番草」といいます。三番草は9月頃に収穫されるのが一般的です。
三番草は、二番草が刈り取られた後に、再び成長した草を収穫したものであるため、栄養価はさらに劣り、繊維質が多くなります。
一番草や二番草と比べると収穫量が減るものの、地域や気候条件によっては十分な収穫量を期待できる場合もあるでしょう。
三番草は、冬に向けた家畜のストック飼料として利用されます。品質や収穫量が劣る場合も多いため、補助的な飼料として利用されることがほとんどです。
特定の地域では四番草まで収穫
温暖な気候や特定の地域では、四番草まで収穫される場合もあります。四番草は10〜11月の晩秋から初冬にかけて収穫されます。
四番草は、三番草よりもさらに栄養価が劣り、繊維質が増加するのが特徴です。収穫量も減るため、四番草まで刈り取る地域は珍しいのが現状です。
四番草は補助的な飼料として利用されます。四番草をメイン飼料にすると、家畜の健康状態が悪化する可能性もあるため、避けたほうが無難です。
牧草に関するよくある質問
北海道の牧草刈り取り時期はいつ頃?
北海道の牧草刈り取り時期は、6月中旬が目安です。この時期に刈り取った牧草は栄養価が高く、良質な牛のエサになります。
牧草収穫の機械の種類は?
牧草収穫の機械の種類は次のとおりです。
機械の種類 | 役割 |
---|---|
モアコンディショナ | 牧草を刈り取り、茎や葉を圧砕する |
テッダ | 刈り倒した牧草を反転させて、乾きやすくする |
レーキ | 散らばった草をかき集めて、畝(うね)の状態にする |
ロールベーラ | 牧草を圧縮しながらロール状にする |
ラッピングマシン | ビニールでラッピングして、密閉状態にする |
牧草ロールの価格はいくら?
牧草ロールの価格は、1ロール(直径1.3m程度)あたり10,000円前後です。
ただし、牧草の種類や品質によって価格は大きく変わります。近年は牧草ロールの価格が高騰しつつあり、1ロールで2万円近くするものも増えてきました。
まとめ
牧草は、収穫する時期によって呼び方が変わります。その年の最初に収穫したものから順番に「一番草」「二番草」「三番草」と呼ばれます。
春に収穫された一番草の栄養価が最も高く、収穫を重ねるごとに栄養価は低下します。温暖な気候や特定の地域では「四番草」まで収穫されることもありますが、家畜の飼料としては向いていません。
牧草の収穫時期による違いに注目すると、飼養管理の最適化につながるでしょう。