牛を飼育するうえで、体重の管理は重要です。定期的に体重測定しておくと、牛が順調に成長しているかどうかの指標になるだけでなく、発育の悪い牛に対して早めの対処もできるようになります。
今回は、牛の体重測定方法や、月齢ごとの体重の目安について紹介します。生産効率を高めるためにも、ぜひ参考にしてください。
牛の体重測定方法とは
- 体重計で測定する
- 胸囲から推計する
- 早見表を参考にする
それぞれの測定法ごとにメリット・デメリットがあるので、順番に紹介していきます。
体重計で測定する
牛の体重を測る際に最も正確なのが、体重計による測定です。牛用の体重計で測定することで、1kg単位の正確な体重が分かります。
牧場への入牧・下牧の際に、自動体重計測システムを利用しているところも多く、一度の何百頭もの牛の体重を測定する際には便利な方法です。
牛用の体重計は正確さに優れているものの、導入するには高額な費用がかかるというデメリットもあります。小規模な農場での導入は現実的ではないでしょう。
胸囲から推計する
牛の胸囲と体重には、一定の相関があることが分かっています。「体重推定尺」を利用すると、1人でも牛の体重を測定できます。
体重推定尺には「乳牛用の体重メジャー」と「和牛用の体重メジャー」があるので、間違えないように注意してください。短時間で測定できて便利なので、1つは用意しておきましょう。
- 巻尺を「肩甲骨の後端から指2本分後方」に当てて、胸回りをぐるっと1周する
- 適度に締めて測定する(最初はややきつく締めて、その後に少し緩めて、その中間の目盛りを読むと正確に測れる)
複数の月齢の牛を測定すると、農場全体の傾向を知ることができます。
体重推定尺があると、牛の「胸腹比」も測定可能です。胸腹比は第一胃の発達の指標になるため、特に子牛の管理において重要な数値です。
4ヵ月齢までに胸腹比が1.2以上になっているのが望ましいとされています。子牛の成長が気になるときは測定してみてください。
早見表を参考にする
牛の体重早見表を参考にするのも1つの方法です。
それぞれの牛には個体差があるため正確さは劣るものの、月齢ごとの大まかな目安を知りたいときは早見表が便利です。
牛の月齢ごとの体重の目安
ホルスタイン種と黒毛和種の月齢ごとの体重目安をまとめました。体重早見表としても使えるので、参考までにどうぞ。
乳用牛(ホルスタイン種)
月齢 | 体重 |
---|---|
出生時 | 約30〜35kg |
1ヵ月齢 | 約45〜70kg |
3ヵ月齢 | 約100〜150kg |
6ヵ月齢 | 約200〜300kg |
9ヵ月齢 | 約300〜450kg |
12ヵ月齢(1歳) | 約400〜550kg |
18ヵ月齢(1歳半) | 約500〜650kg |
24ヵ月齢(2歳) | 約600〜750kg |
肉用牛(黒毛和種)
月齢 | 体重 |
---|---|
出生時 | 約25〜30kg |
1ヵ月齢 | 約30〜40kg |
3ヵ月齢 | 約90〜120kg |
6ヵ月齢 | 約180〜240kg |
9ヵ月齢 | 約270〜360kg |
12ヵ月齢(1歳) | 約360〜480kg |
18ヵ月齢(1歳半) | 約480〜600kg |
24ヵ月齢(2歳) | 約600〜700kg |
30ヵ月齢(2歳半) | 約700〜800kg |
まとめ
牛の体重測定方法には、体重計・推定尺・早見表の3つがあります。
体重計は正確であるものの手間とコストがかかるため、家族経営の農場では難しいのが現状です。早見表は大まかな目安にはなるものの、個体差を考慮していないため実際の体重と誤差が生じてしまいます。体重推定尺による測定は、手軽に実施できるうえに正確さも申し分ない方法です。
牛の体重は、成長度合いを把握するために重要な指標となります。気になる牛がいるときは、積極的に測ってみるとよいでしょう。