農業は、私たちが生きる上で欠かせない食料を提供する重要な仕事です。生産環境を整えて、日々の丁寧な作業を積み重ね、収穫した農産物を人々へと届けます。
農業と聞くと、「田舎でのんびり暮らせる」というイメージを持たれがちですが、実際はそんなに簡単な話ではありません。経営がうまくいかず、離農に追いやられる農家も少なくないのです。
本記事では、日本の農業経営の現状と課題、勉強の仕方などを紹介します。農業経営を成功させて、理想の暮らしを手に入れるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
現実は厳しい?農業経営の現状
暮らしを支える重要な仕事である農業。耕種農業、果樹・花き農業、畜産農業、観光農業の4種類に分類されています。
令和3年の農業総産出額は、8兆8,384億円となっており、日本国内でも重要産業の1つとなっています。同年の生産農業所得は、3兆3,479億円であり、前年よりも45億円ほど増加。
しかし、実際には多くの農業経営者が経営難に陥っているのも事実です。なぜ、全体としての所得は増えているのに、離農していく農家が後を絶たないのでしょうか?
(参考:農林水産省「令和3年 農業総産出額及び生産農業所得(全国)」)
農業経営体の推移
農業の現状を正しく把握するためにも、個々の農業経営体の推移を見てみましょう。令和3〜5年の農業経営体の推移は、以下の表の通りです。
個人経営体 | 団体経営体 | 合計 | |
---|---|---|---|
令和3年 | 991,400 | 39,500 | 1,030,900 |
令和4年 | 935,000 | 40,100 | 975,100 |
令和5年 | 888,700 | 40,700 | 929,400 |
(参考:農林水産省「令和5年農業構造動態調査結果(令和5年2月1日現在)」)
直近3年間の推移をみると、個人経営体は減少、団体経営体は増加、全体としては減少していることが分かります。日本の農業全体としての所得が増えていることも考えると、以下のような仮説が立てられます。
- 経営が上手い個人農家は、売上や従業員数を増やしながら、団体経営・法人経営へと移行している
- 経営改善に取り組まなかった個人農家は、資材費・燃料費の高騰により、離農せざるを得ない状況に追いやられている
家業としての農業では、なかなか厳しいのが現状です。経営体制をしっかりと整えて、事業としての農業に取り組むことが重要になっています。
農業経営者の平均年収
農業経営者の平均年収を見てみましょう。農業経営体の農業所得は、以下のように推移しています。
1経営体あたり農業所得 | |
---|---|
令和元年 | 1,188,000円 |
令和2年 | 1,236,000円 |
令和3年 | 1,254,000円 |
すべての農業経営体を合わせてみると、1経営体あたりの所得は増加傾向にあります。経営改善に取り組み、利益を作るための組織体制さえ構築できれば、まだまだ伸び代はある状態といえるでしょう。
農業経営の課題とは
所得が増えているとはいえ、実際には農業起業で失敗する人も少なくありません。農業経営者として成功するためにも、脱サラ農業のリアルや、起業失敗する理由など、農業経営の課題について理解しておきましょう。
脱サラ農業のリアル
地方移住や、ワークライフバランスなど、近年は田舎でのんびりと暮らすことに憧れる人も増えてきました。そのような社会的な背景もあり、会社員を辞めて農業を始める「脱サラ農業」が話題となっています。
脱サラ農業に成功して理想的な暮らしを手に入れた人がいる一方で、なんとか生活しているものの、時間的・金銭的な余裕を失っている人も少なくありません。
脱サラ農業に成功した方の本を読んでみると、運の良さもあるものの、みなさんしっかりとした経営体制を整えていることが分かります。
「田舎でのんびり暮らしたい」「自由な生活を送りたい」という気持ちだけでは、脱サラ農業は難しいでしょう。
運よく成功したように見える「あの人」も、実は「裏でしっかりと経営を学んでいた」というのがリアルです。
農業起業で失敗する人が多い理由
農業起業の失敗の多くは、経営判断ミスにあります。農業経営のノウハウを知らないまま起業した結果、間違えた判断をしていることに気がつかず、いつの間にか離農せざるを得ない状況に陥っている場合がほとんどです。
農業をして暮らしていくには、経営を学ばなければなりません。
とはいえ、大学で学ぶような難しい経営学の本を読む必要はありません。これから紹介するような、より実践的な知識のほうが、何倍も価値があります。
農業経営者になるには幅広い知識が必要?
農業経営者になるには、経営に関する一定の知識が必要です。しかし、イチから経営学を学ぼうとするのは、あまりにも無謀です。
ここからは、なるべく短期間で、効率よく農業経営者に必要な知識を身につけるための手段を紹介します。
農業経営の勉強におすすめの本
おすすめ本 | 概要 |
---|---|
東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100 | 東大卒、外資系企業で経験を積んだ著者が、栃木県の小さな梨農家の経営改善に取り組む物語。実話に基づいた内容となっており、農業経営のリアルを知るのにぴったりな1冊。 |
小さい農業でしっかり稼ぐ!兼業農家の教科書 | ゼロから始めて、しっかり稼ぐ農業を営むために、何をどのような順番で進めるべきか書かれた1冊。実践ノウハウが多く掲載されており、すぐに取り入れやすいのが魅力的な良書。 |
農で1200万円!「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩 | バーテンダー、ビジネスホテル支配人を経て、脱サラ農業で起業に成功した著者の物語。初期投資をなるべく抑えて、家族みんなで幸せに生きるための脱サラ農業ノウハウが記された1冊。 |
農業経営を勉強するには、リアルな実体験に基づいた本を2〜3冊ほど読むのがおすすめです。先人たちが苦労した末に導き出したノウハウは、学校では学べない実用的なものばかり。
ここで紹介した3冊は、いずれも著者の体験から得られた学び・ノウハウがまとめられた良書です。農業経営を成功させるためのヒントが散りばめられているので、読んでおいて損はないでしょう。
農業経営アドバイザーの有用性
農業経営アドバイザーとは、農業経営者から寄せられる幅広い要望に専門的かつ柔軟に対応して、経営発展を支援する存在です。
日本政策金融公庫が認定している民間資格で、資格取得によって、以下のノウハウを持ち合わせていることを証明できます。
- 税務や労務、流通などの経営に必要な知識
- 農業生産に関する理解
「農業経営者に対して経営改善をサポートできる人材」の育成を目的とした制度です。
農業経営の改善に役立つアドバイスをもらえるので、経営面での不安がある方はサポートを受けてみるのも選択肢の1つでしょう。
農業経営モデル構築ならAgriMemo(アグリメモ)
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コンサルティング会社で、業務改善・オペレーション構築を経験してきた代表が、農業経営の課題解決をサポートいたします。
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まとめ:農業経営を改善して明るい未来を実現しよう
地方移住やワークライフバランスの影響で、近年注目を集めている農業。売上規模・従業員数を増やしながら利益を拡大している農家がいる一方で、利益を残せずに廃業に追いやられる農家もいるのが現状です。
農家がより良い暮らしを実現するには、家業としての農業ではなく、事業としての農業へとシフトしていかなければなりません。農業経営の仕方を見直して、しっかりと利益を残せるような経営体制を構築しましょう。