『図解よくわかるフードテック入門』を読みました。
書籍の要約ポイント、読んだ感想について紹介します。
『図解よくわかるフードテック入門』の概要紹介
項目 | 詳細 |
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編著者 | 三輪 泰史(みわ やすふみ) |
役職 | 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート |
略歴 | 農林水産省、内閣府、経済産業省、NEDOなどの公的委員を歴任。主な著書に『アグリカルチャー4.0の時代 農村DX革命』『IoTが拓く次世代農業 -アグリカルチャー4.0の時代-』『図解よくわかるスマート農業』などがある。 |
- フードテックを構成する代表的な技術を学べる
- 具体事例が豊富で、難しい概念も理解しやすい
- 普及のポイントやビジネス化の際の注意点も解説
『図解よくわかるフードテック入門』の要約ポイント
フードテック分野では、高い技術力を活かした新規事業の立ち上げが盛んになっており、勢いのあるベンチャー / スタートアップが次々と誕生しています。ファンドや銀行などの金融機関が熱い視線を送り、今後の事業拡大が望まれます。
(引用:『図解よくわかるフードテック入門』 14ページ)
国内外を問わず、フードテック分野では日々新たな取り組みがなされています。多様な食品ニーズに応えたり、食料の安定供給を維持したりするには、科学技術を活かした効率的な生産体制の構築が欠かせません。
フードテックの推進により、温室効果ガスの削減や自然破壊の抑制など、環境負荷の軽減につながる点もメリットの1つです。フードテックの効果は社会・経済・環境の多岐にわたり、今後もさらに重要性を増していくでしょう。
畜産には環境保全や農地の有効活用の観点での貢献も多くあり、マスコミ報道でしばしば見受けられる「食肉は環境負荷が高い、植物肉は環境に優しい」といったステレオタイプな論調には注意が必要です。
(引用:『図解よくわかるフードテック入門』 67ページ)
植物肉や培養肉などの代替肉への関心が高まるにつれて、「畜産は環境に悪い」との意見も耳にするようになりました。確かに、温室効果ガスの増加や飼料変換効率の低下などの観点からすると、畜産には改善点が多くあります。
しかし、畜産はタンパク質供給の観点から重要な役割を果たしており、条件次第では畜産により環境負荷の軽減につながることも。
- 山間地や寒冷な地域など、農作物の栽培に不利な農地を放牧地として活用できる
- 食品残渣によるエコフィードをを活用した資源循環型の畜産も展開されている
良いか悪いかの二極化思考をするのではなく、「良い部分は活かして、悪い部分は別の方法を取り入れる」という柔軟な発想が大切です。
植物工場産レタスの価格は安価となり、マーケットが拡大しました。初期は1株250〜300円と高値で、主に百貨店で取り扱われる商品でしたが、最近はその価格が半分以下となり、一般的なスーパーマーケットでも広く取り扱われています。
(引用:『図解よくわかるフードテック入門』 103ページ)
植物工場とは、農産物の栽培環境を最適な条件に整える工場です。農産物の生産性向上が主な目的で、以下のようなメリットがあります。
- 1年を通して栽培可能
- 常に旬の状態を再現
- 気象リスクの回避
- 栄養価の高い農産物の生産
- 無農薬でも栽培可能
数年前まで高価だった植物工場産の農産物も、技術が進歩するにつれて徐々に安くなっています。味や栄養面でも高い評価を受けており、今後の更なる進化が期待されるフードテック分野です。
水産物に関して、以前は「養殖物は天然物に劣る」というイメージが持たれてきましたが、最近は飼養手法や餌が改良され、品質や安全性を売りにしたブランド養殖物が生まれており、天然物のブランド魚に匹敵する、時には凌駕する評価を得る商品も増えているのです。
(引用:『図解よくわかるフードテック入門』 127ページ)
地球温暖化による海水温の上昇により、日本の漁業は大きな影響を受けています。漁獲できる魚種が変化したり、漁獲量が減少したり、地域によっては深刻な問題となっているところも少なくありません。
そんな中で注目されているのが、水産物の養殖業です。近大マグロ、関さば・関あじ、海の桜勘など、「ブランド養殖魚」と呼ばれる商品も増えています。
農業の成長産業化に関する各種政策の効果もあり、農業産出額については近年若干の回復の兆しも見えており、日本の農業はこのまま衰退するのかV字回復できるのかの大事な分岐点に差し掛かっているのです。
(引用:『図解よくわかるフードテック入門』 158ページ)
農業DX(デジタルトランスフォーメーション)については、農林水産省が中心となり、各省庁が連携して推進されています。農業DX構想では、以下のようなプロジェクト例が示されました。
- 農産物流通効率化プロジェクト
- フードテックプロジェクト
- 業務の抜本見直しプロジェクト
- データ活用人材育成推進プロジェクト
- eMAFFプロジェクト
- 農業分野オープンデータ・オープンソース推進プロジェクト
日本の農業を活性化させるためには、デジタルの活用が不可欠です。農業・農村のデジタルトランスフォーメーション実現が、日本の農業をV字回復させるカギとなります。
『図解よくわかるフードテック入門』を読んで感じたこと
『図解よくわかるフードテック入門』では、食に関する国内外の現状や、最新テクノロジーについて広く学べます。図解が豊富で難しい概念も理解しやすいので、フードテックを学ぶ入門書としておすすめの1冊です。
実際に読んでみた感想は次の通りです。
- 食に関するさまざまなジャンルの知識が増えて、思考の幅が広がった
- 自分の想像以上に科学技術が進歩しており、これから訪れる「食の進化」への興味関心がさらに高まった
- 農業や漁業の現状や課題感、解決に向けた取り組みを知ることで、自分のキャリアやビジネスの参考になった
- 暗いニュースばかり報道されているが、実際にはポジティブな変化もたくさん起こっていることが理解できて、未来に希望を持てるようになった
- フードテックの入門書としておすすめできると感じた
食文化やフードテックに関心がある方は、一度読んでおくことをおすすめします。変化の激しい時代を生き抜くためにも、なるべく若いうちに読んでおくと後悔しない1冊です。