深刻化する、日本農業の高齢化問題。農業従事者の平均年齢は70歳近くにまで達しており、数年後の食料自給率低下が懸念される状態が続いています。
本記事では、農業の高齢化問題の現状や、その対策について紹介します。「若くて元気な人が欲しい」「高齢化問題を解決したい」という方は参考にしてください。
農業の高齢化問題とは
農業の高齢化問題とは、農業従事者の年齢層が高くなり、若い世代の後継者不足が深刻になるという問題です。過去数十年で農業従事者の平均年齢は上昇し、現在では60歳以上が多数を占めています。
高齢者の農業担い手が増加する中、若い世代の後継者不足が続くことで、日本農業の継続が脅かされています。高齢化問題は、労働力減少や経営困難といった経済的な悪影響だけでなく、地域の農業文化存続の危機、食料自給率の低下にもつながる可能性がある重大な課題です。
農業の未来を担う若者の確保や、効率的な経営継承の仕組み構築が求められています。
なぜ、農業の高齢化問題が深刻化しているか
農業の高齢化問題が深刻化している主な理由は、主に以下の通りです。
- 若者が農業以外の職業を選びやすい状況が続いている
- 後継者不足により、高齢者が経営せざるを得ない
- 独自のノウハウや経験を得るのに時間がかかる
農業は、「体力が必要な労働環境」「不安定な収入面」などのマイナスイメージが根強く、若者から選ばれない傾向にあります。IT系・金融系の道に進む若者が増えたこともあり、日本の農業全般において若い世代が減少しています。
これが原因で、後継者不足となった農家では、高齢者が経営を継続せざるを得ない状況に。農業従事者の平均年齢は、年々上昇しています。
また、農業経営のノウハウや経験を得るのに時間がかかる、という古い認識も高齢化の要因といえるでしょう。「農業に必要な知識や経験を得るには何年もかかる」といった間違った先入観を持つ若者は多く、農業を選ぶハードルは、依然として高いのが現状です。
高齢化が進む日本農業の現状
日本の農業は高齢化が進み、さまざまなリスクが生じています。
1995年には490万戸の農家が存在したものの、2020年には175万戸まで減少しました。存続している農家も高齢者が多く、80%が60歳以上、70%が65歳以上にまで達しています。
農業における高齢化の背景には、過酷な労働条件や不安定な収入状況、後継者が農業を継ぐことに魅力を感じないといった要因が絡んでいます。また、農業経営に必要なノウハウや技術が継承されにくいという点も重大な課題です。
農業は、季節や気象条件による変化が大きく、経験にもとづく知識が求められます。しかし、家族経営が多い日本の農業では、これを次世代に伝える手段が限られています。
高齢化問題を解決するには、IoT・DX推進などのアプローチが必要です。しかし、ほとんどの農家ではやり方を変えられず、苦しい状態が続いています。その結果、労働力不足により生産性が低下して、離農へと追いやられる農家が後を絶ちません。
最新技術の導入やデジタル化を進める農家も一部では見られるものの、まだまだ改善の余地が残されているのが現状です。
若者の「農業離れ」の原因とは
なぜ、若者の農業離れが深刻化しているのでしょうか。
近年の若者は、安定した職業を求める傾向があります。気候変動による収入面の影響が大きい農業は、若者からすると「リスクが高い職業」に見えてしまうのが原因です。
また、情報化の進展により、農村地域での生活に魅力を感じない若者が増えたのも原因の1つ。他の職業と比較すると、最新技術の導入シーンが分かりづらく、先進的な職業と見なされにくい状況にあります。
若者の「農業離れ」に対処するには、これまでの農業のマイナスイメージを払拭し、「新しい農業の魅力」を伝えていかなければなりません。
農業の高齢化問題への対策3選
農業の高齢化問題への対策として、以下の3つがあげられます。
- 農業後継者への支援を充実させる
- 国や自治体からの補助金制度を活用する
- 農業後継者への相続について理解する
それぞれの対策について、具体的に解説します。
対策1:農業後継者への支援を充実させる
農業の高齢化問題に対処するための重要な施策として、農業後継者への支援を充実させることが不可欠です。若者が農業に進む際のハードルを下げるため、農業教育や研修プログラムを強化して、農業の魅力を積極的に伝える取り組みが求められます。
また、農業後継者に対する資金面でのサポートも重要です。低利融資や補助金制度の整備、若手農業者向けの奨励金などを提供し、経済的な不安を軽減する必要があるでしょう。
地域ごとのニーズに合わせた施策の検討・実施を繰り返すことが、後継者不足の解消に向けた大きな一歩となります。
対策2:国や自治体からの補助金制度を活用する
国や自治体は、農業従事者に対する補助金制度を提供しています。しかし、中には補助金の存在を知らず、「農業を始めるにはお金がかかる」という認識を持つ人も少なくありません。
農業参入のハードルを下げるためにも、補助金制度を分かりやすく伝えることも重要な取り組みの1つです。
- 新規就農者への補助金
- 先代からの経営承継に伴う補助金
- 農業機械や施設の導入に対する助成金
所属する団体や自治体により異なるものの、上記のような補助金・助成金を提供しているところは少なくありません。
補助金の拡充や積極的な情報発信を行い、若者がこれらの支援を利用しやすい環境を整えましょう。
対策3:農業後継者への相続について理解する
農業経営の継承には、土地や農業機械の相続に関する法的な問題があります。これに対処するためには、後継者やその家族が相続に関する正確で分かりやすい情報を得ることが不可欠です。
弁護士や税理士、地域の農業相続に詳しい専門家と連携し、適切なアドバイスを提供する体制を整えるのが理想的。そのためには、地域全体が一丸となって協力し合わなければなりません。
農村コミュニティを強化したり、地元ならではの交流の場を作ることで、他業種に従事する人からの協力も得やすくなるでしょう。
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まとめ:農業の高齢化問題に向けた対策をしよう
日本の農業は、高齢化が進む深刻な状況にあります。後継者不在で、離農する農家も多く、その結果として耕作放棄地が増えるなどの問題が発生しています。
農業の高齢化問題を解決するには、農業に対するマイナスイメージを払拭し、「新しい農業の魅力」を伝えていかなければなりません。
AgriMemo(アグリメモ)では、農業に関する情報発信や、実際の農場への経営支援も行っています。「なんとかして後継者を見つけたい」「若い労働力が欲しい」という方は、メールまたはお問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。