6次産業化とは?メリットとデメリット、成功・失敗事例を紹介

  • 2023年12月27日
  • 農業
  • 390回

1次産業の農林漁業、2次産業の製造業、3次産業の小売業など、複数の事業を総合的に推進する取り組みを6次産業と呼びます。

農山漁村の豊かな地域資源を活用して新たな付加価値を生み出すことで、従来の1次産業よりも利益率が高い事業を構築できます。

しかし、これまでの方法を変えて6次産業化するには、製造・集客・販売のそれぞれで異なるノウハウが必要であり、6次産業化に踏み出せない農家も少なくありません。

本記事では、6次産業とは何なのか具体例を解説し、6次産業化ビジネスモデルのメリットとデメリット、成功・失敗事例を紹介。後半では、補助金についても触れるので、6次産業化を推進したい方は最後までご覧ください。

6次産業とは?わかりやすく解説

6次産業とは

6次産業とは、農業を単なる生産だけでなく、生産物に付加価値をつけて製品化し、加工・販売・観光・サービスなど様々な分野に展開するビジネスモデルです。

従来の「農産物の生産者」から、商品開発・販売・ブランディングなどを含む施策を実施する「ビジネスオーナー」へと変化するのが、6次産業化の本質です。

6次産業化には、専門的な知識や技術、地域社会との連携が求められます。IT技術やAIを活用した6次産業化も進められており、農業従事者の利益率を上げるためには欠かせない取り組みです。

農林水産省が推奨するビジネスモデル

6次産業は、農林水産省が推奨するビジネスモデルです。農業従事者が単なる生産から脱却し、付加価値をつけた商品を軸として様々な事業展開を行うことを推奨しています。

農林水産省は、6次産業化の促進を目的に、各地域でのセミナー開催やサポートセンター設立、補助金提供などの支援を行っています。

国が前向きに支援している今こそ、6次産業化に取り組む絶好のタイミングといえるでしょう。

6次産業の商品例

6次産業の商品例を3つ紹介します。

6次産業の具体例
商品例 説明
酪農家が経営するチーズ工房 牛乳をそのまま出荷するだけでなく、チーズやバターに加工して販売。農産物の加工商品としては、フルーツジャム・ジュース・乾燥フルーツなどもあげられる。
地元食材を使用したレストラン 地元の農産物を使用した料理メニューを、レストランやカフェで提供。食材にひと手間加えることで、利益率がアップする。
観光牧場・農業体験 牧場や農場を一般向けに開放し、観光客に農業体験してもらう。すでにある環境を活かしたビジネスモデルの代表例。

6次産業化への取り組みは、農業従事者の利益創出・認知度向上につながります。

資材・燃料費の高騰が続く現代では、利益率を保つためにも欠かせない取り組みといえるでしょう。

6次産業化ビジネスモデルのメリット

6次産業化ビジネスモデルのメリット

6次産業化ビジネスモデルのメリットは以下の通りです。

  • 所得向上
  • 新たな雇用機会の創出
  • 地域活性化
  • 事業の多角化

それぞれ詳しく解説します。

所得向上

6次産業化ビジネスモデルでは、農産物の付加価値向上により、従来の農産物出荷だけでは得られなかった所得が得られます。

加工品を販売したり、観光体験を提供したり、多様な事業展開をすることで、農業者は新たな収益源を確保できるでしょう。

農業従事者の経済的な安定だけでなく、地域経済の活性化にもつながります。

新たな雇用機会の創出

6次産業化の推進により、新たな雇用機会が生まれるのもメリットの1つです。

加工・販売に関わる業務、観光体験施設の運営、新商品の開発など、6次産業化に伴い多くの雇用機会が誕生します。

直売所スタッフ、観光ガイド、商品開発スタッフをはじめとした雇用機会の増加により、地方創生にも貢献できるのがポイントです。

地域活性化

6次産業化が進むことで、地域全体が活性化し、新たな観光スポットや地域ブランドが形成される可能性もあります。

国内外から多くの観光客が訪れることで、地元の特産品や文化が広く知られるきっかけにもなるでしょう。

世間の注目を集めることで新たなニーズが生まれ、地域活性化に向けた良い循環の発生も期待できます。

事業の多角化

6次産業化により、農業従事者の事業を多角化できる点もメリットです。従来の農産物出荷だけでなく、複数の事業を同時並行で進めることで、安定した経済基盤を作れるでしょう。

また、複数の事業の相乗効果により、思いもよらぬ所得向上につながるケースも少なくありません。

6次産業化ビジネスモデルは、環境変化や市場変動にも柔軟に対応できるので、持続可能な農業経営を実現するためにも、早期の取り組みが必要です。

6次産業化のデメリット

6次産業化のデメリット

メリットが大きい6次産業化ですが、デメリットもいくつか存在します。

  • 費用と投資の増加
  • 事業リスクの増加

6次産業化のデメリットについて、事前に把握しておきましょう。

費用と投資の増加

6次産業化に取り組む際は、一時的な初期投資費用が発生します。新たな設備を導入したり、既存の施設を整備したり、販売経路を開拓したりする必要があるためです。

初期投資費用を回収するまでは、半年から1年くらいかかるのが一般的。経済的な負担を軽くするには、6次産業化に取り組む前に「現状の農業経営の見直し」「コストカットによる利益率向上」を行うことが重要です。

事業リスクの増加

新たな事業領域への進出や多角的な事業展開を行うことは、事業リスクが増加することと表裏一体です。需要の変動、競合他社との差別化、天候不順への対応など、事業に影響を与える要因が増えるのは避けられないことでしょう。

事業リスクを最小限に抑えるには、専門家のノウハウを活用したり、外部のパートナー企業からサポートを受けたりするのがおすすめ。プロに依頼すると、リスクを最小限に抑えつつ、短期間で大きな利益を上げられるでしょう。

6次産業化の成功例

6次産業化の成功例として、以下の3つを紹介します。

成功例
事例 説明
トマト栽培と観光業の統合
(山梨県甲州市)
「農業生産法人 株式会社四季菜」は、トマト栽培と観光業を組み合わせて6次産業化を成功させています。トマトの生産だけでなく、観光農園を運営し、トマトの収穫体験や直売所を通じて地域観光を促進。トマト農家の売上が増加し、雇用者も増えました。
パプリカ栽培と地元企業との連携
(茨城県水戸市)
「農業生産法人株式会社Tedy」は、パプリカの生産と地元企業との連携を強化しました。地元企業と協力してパプリカペーストを開発し、加工品を生産・販売。これによりパプリカ生産者の収益が向上し、パプリカの認知度も高まりました。
規格外野菜の有効活用とカフェ経営
(宮城県大崎市)
「デリシャスファーム株式会社」は、デリシャストマトの規格外品を加工品(トマトジュース)に転用し、直売所とカフェを運営しています。カフェと直売所の相互作用により売上が増加し、デリシャストマトの生産面積も拡大しています。

参考URL
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kikaku/pdf/jirei_25.pdf
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/pdf/tedy.pdf
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renkei/6jika/pdf/271117_deri1.pdf

上記の成功例に共通して見られるのは「売上増加・認知度向上・雇用機会創出」の3点です。

6次産業化の推進は、農家自身の生活が豊かになるだけでなく、その地域で暮らす人々にも良い影響を与える取り組みといえます。

6次産業化の失敗事例

6次産業化の失敗事例を紹介します。

失敗事例
事例 説明
事業計画の不備による失敗 ある農業法人が、6次産業化に取り組む際、事業計画の策定が不十分だったために失敗した事例があります。市場調査や競合分析が不十分であり、消費者のニーズや競合他社の動向を正確に把握できていなかったのが原因です。収益が伸び悩み、従来の事業形態に戻らざるを得ない状況になりました。
衛生管理の不備による信頼喪失 ある農業法人が、6次産業化において食品の加工・販売に注力しましたが、衛生管理が不十分であったために商品に問題が生じ、消費者からの信頼を失う結果となった事例です。食品事故に伴うリコールや悪い口コミが広まり、ブランドイメージが損なわれたために事業継続が難しくなりました。徹底的な衛生管理が欠如していたことが、6次産業化の失敗の原因となりました。

上記の失敗事例から学べるのは、「市場調査に基づいた事業計画」「衛生管理体制の構築」が6次産業化の成功に不可欠ということです。

事業計画を立てたり、新たな体制を構築したりする際は、慎重に決断しなければなりません。

6次産業化の補助金

6次産業化の補助金

6次産業化の補助金とは、農家や農業法人が、農畜産物の加工・流通・販売などの新たな事業を始める際に、経済的な支援を提供する制度です。主に農林水産省を通じて行われ、公募により補助金の交付対象者が選定されます。

具体的には、以下のような機械・施設で補助金を受け取ることができます。

  • 農畜産物加工施設(野菜カット工場など)
  • 農畜産物販売施設(直売所など)
  • 農畜産物提供施設(農家レストランなど)
  • 高生産性農業用機械施設(田植機、トラクターなど)
  • 簡易土地基盤整備(障害物除去、整地など)
  • 地方農政局長が特に必要と認める機械・施設等

参考URL:https://www.maff.go.jp/j/keiei/keikou/kouzou_taisaku/k_rokuzika/attach/pdf/index-6.pdf

補助金の支援対象となるのは「農業経営を行う法人(農業協同組合は除く)」「その他農業者の組織する団体(代表者の定めがあり、組織及び運営について定めた規約のある団体に限る)」のいずれかであり、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 構成員に3戸以上の農家を含んでいること
  2. 農業経営を改善するための計画を有していること(農業経営改善計画など)
  3. 農畜産物の生産を行っていること
  4. 中小企業規模(資本金が3億円以下又は従業員数が300人以下)であり、大企業の子会社でないこと
  5. 構成員に3戸以上の農家を含まない法人又は団体にあっては、地域からの常時雇用者を3名以上雇用している又は常時雇用者が新たに3名以上となる目標及びその達成のためのプログラムが設定されていること
  6. 6次産業化法人と原料供給等の取引契約を締結していること
  7. 6次産業化法人の子会社でないこと

実施主体としては、1から5までの要件を全て満たす必要あり。
連携法人は、6及び7の要件も満たす必要あり。

上記の「主な支援対象」に当てはまり、「要件」を満たしている場合は、6次産業化の整備における補助金をもらえる可能性があります。

該当する方は、地方農政局や農林水産省にお問い合わせしてみると良いでしょう。

6次産業化の課題解決ならAgriMemo(アグリメモ)

6次産業化の推進は、AgriMemo(アグリメモ)にお任せください。

現状把握・市場調査・販路拡大など、6次産業化に必要となる様々な施策を一貫して支援いたします。

農業経営における総合的なサポートはもちろんのこと、利益率が高い施策に限定した支援も可能です。

無料お試しコンサルも実施しているので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ:持続可能な農業経営には6次産業化が必要

6次産業とは、農業の新たなビジネスモデルとして注目されている概念です。農産物をそのまま出荷するだけでなく、加工・流通・販売までを一貫して手がけることで付加価値を高め、農家の収益を向上させます。

6次産業化には、所得向上・地域活性化・安定基盤構築などのメリットがあります。根拠に基づいた事業計画、衛生管理体制の構築といった課題に対処することで、長期的な利益向上が期待できるでしょう。

6次産業化を成功させるには、事業戦略・マーケティング・オペレーション構築などの知識やノウハウが必要です。

AgriMemo(アグリメモ)では、6次産業化による売上アップに向けた支援を行っているので、興味関心がある方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。