牛の品種とは?品種・性別・年齢・飼育条件による牛の分類方法を解説

  • 2023年4月1日
  • 2023年7月2日
  • 農業
  • 200回

牛を分類する際には、品種・性別・年齢・飼育条件など、さまざまな分け方があります。一口に「牛の種類」といっても、どのような基準で見るかによって分類方法が異なります。

一般的に「牛の種類」というときは、品種による分類方法を用いる場合がほとんどです。

今回は、品種による牛の分類の仕方と、牛の品種ごとの特徴について紹介します。

牛の品種とは

品種とは、形態的・生理的に異なる個体群を意味する言葉です。同じ種に属するものの、長年にわたる遺伝子の分離・固定により、形質に変化があらわれたものを品種と呼びます。

特定の形質をもつ個体群が集団のなかで優位になると、その形質は後世へと受け継がれます。このようにしてできた個体群を「品種」と呼んでいるわけです。

品種による分類は、生物の形質や特徴を強く反映した分け方になります。酪農畜産・耕作などの農業に携わるうえで重要な概念となるため、きちんと理解しておきましょう。

牛の品種は何種類?

牛の品種は何種類?

2023年4月1日時点では、牛の品種は50種類以上が確認されています。

真っ黒な毛で覆われた「黒毛和種」や、白黒模様が特徴的な「ホルスタイン種」なども、牛の品種の1つです。

牛の種類と聞くと、「肉になる牛」と「牛乳を絞る牛」の2つを思い浮かべる人が多いですが、個体ごとの特徴に注目してみると、さらに細かく分類できます。

世界には、2メートルを超える大きなツノをもつ牛や、ラクダのようなコブをもつ牛も存在します。

「なぜ、こんな形になったのか?」と、牛が育った環境をイメージしながら品種をみていくと、面白い発見があるでしょう。

牛の品種による分類と特徴

日本国内にいる代表的な牛の品種を紹介します。品種ごとの特徴も合わせて解説するので参考にしてください。

肉牛の分類

肉牛

日本にいる肉牛の品種は、主に次の4つです。

  • 黒毛和種
  • 褐毛和種
  • 無角和種
  • 日本短角種

それぞれの特徴を紹介します。

黒毛和種

日本国内で飼育されている和牛の約9割が黒毛和種という品種です。黒毛和種は他の品種と比べるとやや小柄で、単一な黒色の毛で覆われています。

サシが入ったとろける舌触りの肉質は世界的にも高い評価を受けています。「霜降り肉」としても知られるやわらかい肉質をもつ黒毛和種は、日本を代表する牛の品種といえるでしょう。

褐毛和種

褐色和種は、和牛のなかではやや大きな体格で、全身を黄褐色から赤褐色の毛で覆われた品種です。北海道・東北地方・高知県・熊本県などで主に飼育されています。

他の和牛と比べると粗飼料の利用性が高く、飼養管理がしやすいというのが褐毛和種の特徴です。

褐毛和種の肉にはサシが少なく、主に赤身の牛肉として消費されています。ヘルシー嗜好の人が増える現代において重要な品種であるといえるでしょう。

無角和種

無角和種は、その名の通りツノがない牛の品種です。毛色は黒毛和種と似ていますが、無角和種のほうが黒味が強いという特徴があります。飼育頭数が少なく、希少な品種として知られています。

無角和種は、日本産の黒毛和種とスコットランド原産のアバディーン・アンガス種の交配により誕生しました。体格の大きなアンガス種の血を引いているため、黒毛和種よりも早く育つのも特徴の1つです。

日本短角種

日本短角種は、放牧に適した和牛として知られる品種です。

粗飼料の利用性が高く、放牧でも問題なく育てられるため、飼育しやすい品種として好む畜産農家も少なくありません。毛色は濃い赤褐色で、体格は黒毛和種よりもやや大きめです。

日本短角種は、北海道と岩手県だけで全国シェアの約7割を占めています。岩手県が「いわて短角和牛」というブランドを打ち出したことで、東日本を中心に認知度が拡大しました。

乳牛の分類

乳牛

日本にいる乳牛の品種は、主に次の3つです。

  • ホルスタイン種
  • ジャージー種
  • ブラウンスイス種

それぞれの特徴を紹介します。

ホルスタイン種

ホルスタイン種は、白黒模様が特徴的な牛の品種です。原産地はオランダで、現在では世界中で飼育されています。日本国内で飼養されている乳牛のうち約99%がホルスタイン種です。

ホルスタイン種は乳量が多い品種で、年間10,000キログラム前後の生乳を生産します。近年は、年間の生乳生産量が20,000キログラムを超える「スーパーカウ」と呼ばれる牛も増えてきました。

ジャージー種

ジャージー種とは、イギリス領のジャージー島を原産地とする品種です。淡褐色の毛色で、ところどころ白っぽくなっているのが特徴です。クリッとした瞳と人懐っこい性格から、好んで飼育する酪農家も少なくありません。

ジャージー牛乳は乳脂肪分が豊富かつクリーミーな味わいが特徴で、バター・チーズ・アイスクリームなどの乳製品によく使われています。

ホルスタイン種と比べると乳量は劣るものの、乳質という観点からすると非常に優秀な品種といえるでしょう。

ブラウンスイス種

ブラウンスイス種は、灰色の毛色が特徴的なスイス原産の品種です。体格はやや大きめで、性格は穏やかで扱いやすく、病気にも強い傾向にあります。

ブラウンスイス種の生乳は、乳脂肪分が高く風味も豊かなのが特徴で、バターやチーズなどの乳製品に利用されています。乳質にこだわりをもつ酪農家のなかには、ブラウンスイス種を積極的に導入している人も少なくありません。

品種以外の牛の分類の仕方

品種以外の牛の分類方法としてよく使われるのが、性別・年齢・飼育条件です。

性別による分類

性別による分類

牛は雄と雌で呼び方が異なります。

雄牛

雄の牛は「雄牛」と呼ばれ、英語では「bull」「ox」と表記されます。

牛の子孫を残す方法には、本交と人工授精の2つがありますが、本交に用いられる雄牛を「種牛(たねうし)」、人工授精用精液を採取するための雄牛を「種雄牛(しゅゆうぎゅう)」と呼ぶのが一般的です。

雌牛

雌の牛は「雌牛」と呼ばれ、英語では「cow」と表記されます。

年齢による分類

年齢による分類

牛は年齢により分類されることも少なくありません。明確な区分はないものの、大まかなイメージは押さえておくと便利です。

胎子

雌牛の体内で主要な組織や器官がつくられてから分娩するまでの間を胎子(fetus)と呼びます。それ以前の、精子と卵子が受精してから主要な組織や器官がつくられるまでの間は胚(enbryo)と呼ばれます。

胎子の期間は、胎盤を通じて母牛から酸素や栄養を摂取して各種機能を発達させていく段階です。この時期に妊娠牛の栄養状態や飼養環境が悪化すると、胎子に悪影響が及ぶ可能性があります。

子牛

生まれてから半年くらいまでの牛を「子牛」と呼びます。一般的には生後5〜6か月までが子牛と呼ばれる時期ですが、明確な区分があるわけではありません。

若牛

子牛から親牛になるまでの間の牛を「若牛」と呼びます。子牛と同様に、若牛と呼びはじめるタイミングに関しては、はっきりとした基準はありません。

親牛

分娩後の牛は「親牛」や「成牛」と呼ばれます。

飼育条件による分類

飼育条件による分類

牛の飼育条件による呼び方の違いも押さえておきましょう。

肥育牛

肉として出荷するために育てられている牛のことを「肥育牛」と呼びます。肥育牛の管理では、肉質を良くするための飼料設計が重要です。

搾乳牛

牛乳を絞るために育てられている牛のことを「搾乳牛」と呼びます。一般的には、分娩後約300日くらいまで搾乳牛としての役割を果たしてから、次の分娩に向けた準備期間に入ります。

未経産牛

未経産牛とは、分娩を経験していない雌牛のことです。産乳能力はなく、なるべく早期の受胎を目標にして飼育されます。

経産牛

経産牛とは、分娩を経験した雌牛のことです。肉牛として出荷する場合には、未経産牛と比較して安価で取引される傾向にあります。

牛の品種に関するよくある質問

和牛の品種は?

和牛とは、黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種と、これらの交雑種のことです。

野生の牛の品種は?

純粋な野生牛は「オーロックス」と呼ばれる品種のみですが、すでに絶滅しています。

オーロックスは家畜牛の祖先にあたる品種で、一部の地域では再野生化しています。

日本国内では「口之島牛(くちのしまうし)」という品種が、野生の牛として唯一認められています。

まとめ:牛の品種と分類方法を理解しよう

牛の品種と分類方法を理解しよう

牛を分類する際には、品種・性別・年齢・飼育条件など、さまざまな基準が用いられます。一般的によく聞く「ホルスタイン種」や「黒毛和種」というのは、牛を品種により分類したときの呼び方の1つです。

一口に「牛の種類」といってもさまざまな分け方がありますが、大切なのは目的に応じて最適な分類法を選べるようになることです。

牛の呼び方・分類の仕方で悩んだときは、ぜひ今回の内容を参考にしてください。