日本国内・海外の環境アセスメント事例、持続可能な開発を阻む課題とは?

環境アセスメントの具体事例

環境アセスメントの具体事例

日本国内の事例

日本では、1972年(昭和47年)に、公共事業での環境アセスメントが導入されました。
導入以来、1975年(昭和50年)代半ば頃までに、港湾計画・埋立て・発電所・新幹線についての制度が設けられます。

1984年には、「環境影響評価の実施について」という統一的なルールが閣議決定され、1993年の「環境基本法」制定後、1997年に「環境影響評価法」が施行されました。
環境影響評価法により、道路や河川、鉄道など13種類の事業が環境アセスメントの対象となりました。

日本国内における環境アセスメントの事例としては、以下のようなものが挙げられます。

環境アセスメント事例
主な事例 概要
ダム建設に伴う環境アセスメント ダム建設は、周辺の生態系に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ダムを建設する際は、水質の変化、野生生物の生息地消失、水生生物への影響などを評価しなければなりません。近隣に水没する土地がある場合は、そこに住む人々への社会的・経済的影響も考慮する必要があります。
工場建設に伴う環境アセスメント 工場建設に伴う環境アセスメントでは、大気汚染・水質汚染・騒音・廃棄物処理などが重要な課題となります。工場から排出される化学物質が、地域の環境や住民の健康に及ぼす影響を評価し、適切な環境保護策を講じなければなりません。
風力発電所の設置に伴う環境アセスメント クリーンなイメージが強い風力発電所ですが、その設置には環境への影響が伴います。鳥類やコウモリなど、風力発電所の近くで生息する野生動物への影響、風車による騒音問題、景観に対する視覚的な影響などが重要な検討事項です。

このように、大規模な開発事業に対しては、環境アセスメントが実施されます。

地球環境、野生生物、近隣住民への影響を考慮して、適切な対策を講じたうえで開発事業を進めなければなりません。

海外の事例

海外では、1985年に採択されたEC指令を契機に、ヨーロッパ諸国で環境アセスメントに関する法制度が整備されました。

ドイツはすでに1970年代から部分的な環境影響評価制度を実施していましたが、1985年のEC指令を契機に、1990年に統一的な環境影響評価法を制定します。
初期には、環境影響の全体像を把握するのが困難だったものの、詳細な環境影響評価ガイドラインの整備や、具体的な評価方法を示すことで、透明性の高い評価プロセスが確立されました。

当時、開発途上国のペルーでは、鉱山拡張計画の一環として、周辺環境に配慮した事業用水の確保を目的に、環境アセスメントが実施されました。
その結果、周辺環境や利害関係者に配慮した形で事業が展開され、鉱山拡張計画で余った水は下水処理のために二次利用されるなど、効率的かつ環境に良い事業運営が実現しました。

今後の環境アセスメント

今後の環境アセスメント

新しい課題

現代の環境アセスメントは、地球規模の環境問題、特に気候変動や生物多様性の減少、持続不可能な資源利用といった新しい課題に直面しています。
これらの課題に対処するため、環境アセスメントの実施において、より包括的でシステマティックなアプローチが求められています。

近年は科学技術の進歩が著しく、特にデータ分析とリモートセンシング技術の進展により、より精度の高い環境影響評価が可能となっています。
今後は、最新技術のポテンシャルが十分に発揮されるようなオペレーション構築、長期的かつ継続的なモニタリングの実施が重要になるでしょう。

持続可能な開発に向けて

都市計画、エネルギー政策、交通システム設計など、さまざまな分野での環境アセスメント適用が拡大しています。

持続可能な開発を実現するには、環境アセスメントが不可欠です。
経済成長、社会的公正、環境保全のバランスを取るためにも、環境アセスメントは重要なツールといえるでしょう。

環境アセスメントを通じて、政策立案者やプロジェクト開発者、地域コミュニティは、環境への影響を最小限に抑えられます。
社会的・経済的な目標達成だけでなく、環境に配慮した戦略を策定できるようになりました。

今後は、環境アセスメントの精度向上と仕組み化、適用範囲の拡大に向けた取り組みなどが求められています。
環境への影響を正確かつ再現性高く評価して、適切な対応策を事業に反映させる仕組みづくりが重要です。