獣医になるには、獣医学部がある大学に進学して、獣医師国家試験に合格する必要があります。獣医師免許を取得するには多くのことを学ばなければならないため、なるべく早いうちから対策するのが重要です。
そこで今回は、獣医になるために必要な勉強、学生のうちにやるべきこと、獣医になりたい学生におすすめの1冊について紹介します。「動物と関わる仕事がしたい」「信頼される獣医師になりたい」という人は、ぜひ最後までご覧ください。
獣医になるにはどんな勉強が必要?
獣医になるにはどんな勉強が必要なのか、気になる人も多いでしょう。獣医になりたい高校生・中学生・小学生がやるべきことを紹介します。
獣医になりたい高校生がやるべきこと
獣医になりたい高校生がやるべきことは、主に次の2つです。
- 勉強して偏差値を上げる
- 大学のオープンキャンパスに行ってみる
それぞれの注意点や具体的な方法を解説します。
勉強して偏差値を上げる
獣医になりたい高校生は、勉強して偏差値を上げるのが最優先事項です。大学によって必要な偏差値は異なるものの、獣医学部への進学は、一般的な大学に進学するよりも難易度が高い傾向にあります。
しかし、高校で習う科目すべてに全力投球するのは現実的ではありません。受験で必要な科目は大学によって違うので、「特に注力する科目」と「ほどほどに頑張る科目」を分けて勉強すると、効率よくインプットできるでしょう。
獣医大学ごとの偏差値・難易度・学費などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
大学のオープンキャンパスに行ってみる
行きたい大学が決まっている場合は、オープンキャンパスに参加するのも大事なことです。大学の雰囲気が分かるだけでなく、受験勉強を頑張るモチベーションにもなります。
大学のオープンキャンパスは、7月から11月までの間に開催されるケースがほとんどです。行きたい大学の公式サイトで日程を確認して、交通手段・宿泊施設の予約を早めにしておきましょう。
獣医になりたい中学生がやるべきこと
獣医になりたい中学生がやるべきことは、主に次の2つです。
- 理系に強い高校に進学する
- 勉強習慣を身につける
それぞれの理由や具体的な方法を解説します。
理系に強い高校に進学する
獣医学部に進学するには、理系科目が重要です。大学によって必要な科目は異なるものの、数学や理科の点数配分が大きい大学がほとんど。
進学先の高校を選ぶときは、理系に強い進学校を選ぶのがポイントです。高校全体が理系科目に力を入れていると、必然的に勉強量が増えて学力も向上します。
大学受験で苦労しないために勉強習慣を身につける
獣医学部に進学するには、大学受験という関門を突破しなければなりません。医学部ほどではないものの、獣医学部も偏差値が高い大学が多いです。
獣医学部に合格するためには、一般的な受験生よりも多くの勉強時間が必要です。高校での受験期に長時間の勉強に耐えられるように、中学生のうちから勉強習慣を身につけましょう。
獣医になりたい小学生がやるべきこと
獣医になりたい小学生がやるべきことは、主に次の2つです。
- たくさん話して、たくさん遊ぶ
- 動物と触れ合う機会をつくる
それぞれの理由や、小学生ならではの時間の使い方について解説します。
たくさん話して、たくさん遊ぶ
獣医になりたい小学生は、たくさんの友達といろんな遊びを経験するのが大切です。というのも、獣医になるとさまざまなバックグラウンドを持つ人々と円滑にコミュニケーションをとる能力が求められるためです。
小学生の頃から多くの人々の考え方に触れることで、思考の幅が広がるといったメリットも。獣医を目指す小学生の子どもがいるご家庭では、年齢を問わず多くの人々と関わる機会を設けましょう。
動物と触れ合う機会をつくる
小学生が動物と触れ合うことで、以下のメリットが期待できます。
- 精神的に安定する
- 学習面に好影響を与える
- 引きこもりの防止や改善
- 自己肯定感の改善
動物との触れ合いは心身ともに良い影響をもたらすので、小学生のうちから動物と触れ合う機会を設けると良いでしょう。
信頼される獣医になるにはどんな勉強が必要?
信頼される獣医師になるには、次の3つが重要です。
- 動物に関する広くて深い専門知識
- コミュニケーション能力
- 社会人としての一般常識
それぞれの知識や能力の重要性、具体的な勉強方法について解説します。
動物に関する広くて深い専門知識
獣医師として働くうえで、動物に関する専門知識は必須です。動物ごとの食事・飼い方・病気など、獣医師になるには幅広い知識を身につけなければなりません。
実際の現場では、教科書的な専門知識はもちろんのこと、現場に出ないと分からないことも少なくありません。信頼される獣医師になるためにも、生涯勉強し続けるという気概を持ちましょう。
コミュニケーション能力
動物のお医者さんである獣医師ですが、実際の現場で対峙するのは飼い主である人間です。目の前の動物の気持ちや状態を翻訳して、飼い主に分かりやすく伝えなければなりません。
一口に飼い主といっても、年齢・性別・性格などは一人ひとり異なります。相手に合わせて最適なコミュニケーションを取れるような柔軟性も大切です。
社会人としての一般常識
社会人としての一般常識は、仕事を円滑に進めたり、他人と信頼関係を築いたりするために重要な要素です。
一般常識が不足していると、コミュニケーションをうまく取れなかったり、新しい仕事を覚えられなかったりして、業務に支障をきたす恐れがあります。
社会人としての一般常識を身につけるには、以下のような方法があります。
- テレビ・新聞・ネットニュースで時事ネタに目を通す
- 社会人としてのマナー・エチケットの本を読む
- 時間や約束を必ず守る習慣を身につける
- 丁寧な言葉遣いを心がける
- 気持ちの良い挨拶をする
いずれも当たり前の行動ですが、実践できていない社会人も少なくありません。獣医師である以前に、1人の社会人として恥ずかしくないような行動を心がけましょう。
獣医になるには「牛の獣医師1年目ハンドブック」がおすすめ
獣医になりたい学生には「牛の獣医師1年目ハンドブック」がおすすめです。
著者が臨床現場で感じた「これだけは知っておくべき」という実用的な知識を短時間で学べます。
実際の現場で獣医師がどのような仕事をしているのかイメージしながら読めるので、獣医師を目指す学生は一読しておくと良いでしょう。
「酪農畜産業界の常識」から「獣医学の実用的な知識」まで網羅されており、一生モノの知識の土台が手に入る1冊です。
よくある質問
獣医になりたい学生から寄せられる、よくある質問に回答します。
獣医になるには何年かかる?
獣医になるためには、大学で6年間の獣医学課程を修了する必要があります。留年・浪人をせずにストレートで進学した場合、24歳で獣医になることができます。
獣医になるには偏差値どれくらい必要?
全国の獣医系大学を見てみると、私立大学で偏差値60前後、国公立大学で偏差値65前後が必要であることが分かります。
受験年度や倍率によって誤差はあるものの、獣医を目指すのであれば、最低でも偏差値60〜65は欲しいところです。
獣医になるには費用はどれくらいかかる?
獣医になるために必要な費用は、進学ルートによってさまざまです。主な費用の内訳は、以下の通りです。
内訳 | 費用 |
---|---|
高校進学にかかる費用 | 公立高校:約20万円 私立高校:約50万円 |
高校3年間の授業料 | 公立高校:約90万円 私立高校:約210万円 |
高校3年間の生活費 | 約30万円 (実家通いの場合) |
塾や予備校にかかる費用 | 約150万円 |
大学進学にかかる費用 | 国公立大学:約30万円 私立大学:約25万円 |
大学6年間の授業料 | 国公立大学:約400万円 私立大学:約1,200万円 |
大学6年間の生活費 | 約864万円 (一人暮らしの場合) |
獣医師国家試験の受験料 | 13,900円 |
獣医師免許の登録料 | 登録免許税:30,000円 手数料:2,000円 |
※上記の費用は目安です。正確な費用は学校ごとの公式サイト等をご覧ください。
上記をもとに進学ルート別に必要な費用をまとめると、以下の表のようになります。
高校 | 塾や予備校 | 大学 | 費用の目安 |
---|---|---|---|
公立 | なし | 国公立 | 約1,439万円 |
公立 | なし | 私立 | 約2,234万円 |
公立 | あり | 国公立 | 約1,589万円 |
公立 | あり | 私立 | 約2,384万円 |
私立 | なし | 国公立 | 約1,589万円 |
私立 | なし | 私立 | 約2,384万円 |
私立 | あり | 国公立 | 約1,739万円 |
私立 | あり | 私立 | 約2,534万円 |
進学ルートごとの費用を比較すると、最も安いルートでも1,500万円弱、最も高いルートだと2,500万円以上が必要となります。
ただし、実家暮らしか一人暮らしか、私立か国公立かによって費用は大きく変わるため、それぞれの状況に合わせて柔軟に調整してください。
社会人が獣医になるにはどうすればいい?
大学の獣医学部に通う学生の中には、一度大学を卒業してから再入学する人もいます。大学を卒業済みあるいは卒業見込みの人が、他の大学に入学して学部の卒業を目指す制度が「学士編入」と呼ばれる制度です。
獣医学部への学士編入試験は一部の大学で実施されています。学士編入試験に合格すると、途中年次から獣医学生として入学することができます。
まとめ:獣医になるには勉強も課外活動も精一杯取り組もう
獣医になりたい高校生・中学生・小学生がやるべきこと、勉強するべき内容について紹介しました。獣医師として働くためには、多くの動物に関する幅広い専門知識を身につけなければなりません。
実際に社会に出てから信頼される獣医になるには、学校で習う勉強以外にも学ぶべきことはたくさんあります。コミュニケーション能力や一般常識なども身につけて、飼い主から信頼される獣医を目指しましょう。